■泡盛の伝統を守りつつ、新たな事業に着目。
 

 琉球王朝時代より、石川家は首里三ヶ(赤田・崎山・鳥掘)で酒造りを営んでおり、その伝統の製法は代々受け継がれていた。昭和二十四年、私の父である先代の石川政治郎が、首里寒川町に石川酒造所を創業。しかし、泡盛は戦災の影響を受け品質が低下。終戦直後、二百前後の泡盛メーカーも本土復帰の頃には四十六社にまで減少することになる。
 私は本土の大学で酒造りを学び、昭和三十六年に沖縄へ戻った。「どうすれば泡盛を復興できるか」それが当時の私のテーマであった。他社が設備の大型化や機械化を急ぐ中、私はあくまでも伝統的なカメ仕込みの製法にこだわった。カメ仕込み製法は、手間ひまがかかり大量生産ができない。しかし、伝統的な製法を唯一維持することに大きな意義がある、と私は考えた。やがてそのこだわりは実を結び、弊社の泡盛は、「口当たりまろやか」と泡盛通の方々の好評を博するに至った。
 弊社の泡盛が認められ、各社の泡盛の生産量も伸びていく中、泡盛製造の際に生ずる廃液(かしじぇー)の処理が問題になってきた。実はかねてより私は泡盛の廃液に関して、特別に注目していた。先代からこういう話を聞かされていたのだ。「豚にかしじぇー(酒かす)を与えると、食欲が増し豚の肉質が良くなる。そのうえ、流行病にも罹りにくい体質になる」というものである。
 私たちの業界では、かしじぇーには黒麹菌が生成するクエン酸があり、それは栄養豊富だということが知られていた。豚の餌として活用した先人の知恵に習い、廃液を有効利用し、なんとか製品化できないものか。私は酒造りの伝統を守りつつ、新たな事業へのチャレンジを始めた。

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昭和10年、台湾生まれ。東京農業大で酒造りを学び、先代創業の石川酒造場の跡を継ぐ。伝統的なカメ仕込み製法の泡盛づくりを行う一方、廃液処理問題にいち早く注目、製品化を含めた様々な活動を続けてきた。泡盛業界全体の振興、発展に関わる問題に取り組んでいる。


お酒は20歳になってから
妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります。
 

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